●【番外深夜の突撃レポート】超美味!神戸フレンチの謎を解くために~神戸・北野「アリーチェ」
神戸フレンチのレベルの高さ!それを探るため、今回・・・ワタクシゴトながら・・・1ヶ月滞在予定のアメリカ旅行を3週間半で切り上げ急きょ帰国。
なぜならば、毎月第2月曜日!!“若手のための料理講習会”なるものが開かれているから!
“若手”?そう、フレンチの次世代をになう若手料理人たちのための講習会です!
夜11時の北野。観光客の姿は当然なく・・・ただただ静かな古い住宅街(^^;
ここがいったい北野のどこなのかわからない方のために、昼間の写真↓
あの建物の影は旧パナマ領事館だったわけですね。ということはご存知、そのお向かいといえば・・・
→ジャンティ・オジェ。ほっ。かすかに暖かい明かりが・・・・(^。^)
うひゃ~(^◇^; 真夜中のレストランって・・・
カーテンの陰から現れた→ジャンティ・オジェ鈴木シェフ。
「あ、今日は3階ですることになったんですよ~」
え!?3階。と、言うことは→アリーチェ!何たる偶然。ザ・シェフリンク記念すべき第1弾のお店ではないですか(^◇^)
さっそく3階へ・・・。→アリーチェ金井シェフの淹れてくださった真夜中のコーヒー。
店内、照明落としてますので暗いまま撮っちゃいます。
さあ!この御三方がわかれば神戸フレンチ通!・・・答え、言っちゃいます(><)
左から・・・→ルセット依田英敏シェフ。真ん中は→キュイジーヌ・フランコジャポネーゼ・マツシマ松島朋宣シェフ。そして→ジャンティ・オジェと→アリーチェオーナーでありながら、もう一軒経営する→デリスリー・ククゥーにてDJさながらガレットを焼いてくださった高柳好徳シェフです♪
こちらはベテラン中のベテランばかり・・・。つまり各お店の徒弟制度のようなものを取っ払ってお互いフレンチの技術交換をやろうよ!という懐の深~い集まりなんですねー♪
オオー(●。●* 振り向けばもうはじまっていた。仕事を終えた若い料理人が大勢駆けつけて来ています。今日の講師役は→ラ・ピエール・ジパング石井之悠シェフ。石井シェフ、さっき入ってきたと思ったら・・・とにかく何をするにも速いんですよこの方(><)
一番左に→アリーチェ金井朋則シェフの姿が見えますね。その手前がなんとなんと!→ホテルモントレ神戸&アマリーの料理長、極楽寺勝三氏がスーツ姿にデジカメもって・・・視察に来られたのかな・・・・(^^)
・・・さっきから水にさらされている肉らしきものが(●。●) そこに石井シェフの声!
「さあはじめるぞ!内臓系の肉をやってくれというリクエストがあったからな、今日はリ・ダニョー。仔羊の胸腺肉だ。一説によると母乳を吸うための筋肉だとも言われている。6ヶ月を過ぎると消えてしまう部位だ」
「ここ。仔羊のここについてる肉なんですよ」
隣に立っていた心優しき依田シェフが自分の喉の左右の部分を指差しながら素人の私に詳しい説明をしてくださいます。さすがフレンチ界のプリンスだわ♪
「今日リー・ド・ヴォー(仔牛の胸腺肉)を使わないのは・・・日本では基本的に仔牛はつぶしていない。茨城で一部やってるだけかな?だからキロ7,000円くらいになってしまう。仔羊やったらキロ1,400円ですむ。せやからこれで我慢してや」
「どの程度デコルジュする(水にさらす)かは・・・このなんともいえないミルクを連想させるような匂いを消さないこと。でも、アンモニア臭もあるからあまりにも○○○臭くでもあかん・・・けどアンモニア臭も旨みのひとつやから残しとかなあかん」
デコルジュされたリ・ダニョーの匂いをかいでいるのは、ああ!→キュイジーヌ・フランコジャポネーゼ・マツシマで、ここに来て一年になりました!とニコニコしながらデザートワゴンからケーキを切り分けていた、あの彼!土佐岡さんです。ついに厨房に入ることになったそうです。おめでとー(^O^)
「セジール(料理の下ごしらえ)に移るぞ。水にレモン。塩は1%。
何度も言うけどな、いいか悪いかは自分の判断や。今日はオレのやり方を教える。違う思たら違うやり方でやれ。わかったな!」
はい!
「火は通してしまわない。上から指で押さえただけで50%の状態がわかるように・・・・
・・・・これが50%火が通った状態や」
うお!思わずみんな覗き込む(^。^)
へ~50%かぁ。
どれどれ、ふむふむ、こんな手触り・・・・
みんなで肉を回しています。
「鍋から空けたら、自然冷却か急ぐときはそのまま冷蔵庫」
あら!?高いカウンターによじ登っている方たちも(^◇^) もしも~し。背中出てますよ・・・あ、ゼンゼン耳に入らないご様子。
ソース作りです。夏から11月はじめまでのセップ茸。こうして時期が外れたときには冷凍を使うことになりますがそのときのポイント。
「解かしてしもたらアカンで~。解かしたとき出てくる汁が旨味やからな!包丁が入る程度に解凍して切り終わったらすぐ冷蔵庫」
バターを入れてセップ茸を入れて・・・
うっはー(@@)いい香り~。クラクラきちゃいますぅ。
「ええかぁ。火を通した時点で旨くなかったらそのソースはもうおしまいや。後から煮詰めようがフランペしようが、もうアカン」
難しいものなんですね・・・フレンチのソースって。あ、当たり前ですね。
「塩と黒胡椒!・・・・え?黒胡椒ないんか?イタリアンは黒胡椒、使わへんのかいな?まあ、白胡椒でええわ。ウイスキー!え!?コニャックしかないんかいな」
フランペ!
「ウイスキーは切れのある味になるけど、コニャックはちょっと甘くなる・・・」
仔羊のジュ(焼いたときに出る汁)を入れて・・
「クレーム!クレーム!」←文句のクレームではなくてクリームのことです(^^;
「はい!味見!」
いっせいに伸びる人差し指。
ううう。私もなめてみたかったけれど・・・熱そうなので~(なんちゅう熱意のなさや!><)
気がつくと近くにソースの鍋が・・・。今さらなめられない(><;
うへ~~(@。@)たまらなくいい匂いがたち上ってくるのですけれどもぉ~。夕ご飯、たっぷり食べてきましたがトツジョ胃袋がキュイィ~ンと空っぽになったのがはっきりとわかりました。
カウンター覗き組。こっちを見てるのは→ジャンティ・オジェ鈴木由希雄シェフ。
芦屋から→リストランテ・ラッフィナートのセコンドシェフを務める花谷和宏さんも駆けつけて来られました。
さあ、次にとりい出しましたるは・・・
豚の網脂!
「どうや~。綺麗やろ!普段から肉屋といい付き合いをしてないとこんな綺麗なピンク色の網脂、持ってきてもらえへんぞ」
いやぁ~石井シェフも綺麗やわぁ♪って言ったら、あら?下向いちゃいました(・。・)
網脂の端の分厚いところはハサミで切って、さっき50%火を通したリ・ダニョーをこんな風に包みます。
「今日はやらへんけど、こんな風に葉っぱを中に入れることもできるからな。さあ、みんなで包んでみ」
「これやったらすぐに解けてバラバラになってまうやろ・・・」
とか色々言われつつも、さすが調理師。あっという間に・・・
・・・小麦粉を薄くまぶしてフライパンへ!
「動かすときはできるだけ手でやらんと、網が破れたら弾けてしまうからな」
んん。コロッケ作るだけでもはじけることが・・・(私には)あるのですが、ましてや3cmくらいの肉がゴロゴロとお互いくっつきもせずに入っているのですから。どうやってこれを焼き固めるの(・。・?
「さあ、ここでじっくり時間かけなアカンで。中火でじんわり焼くんや」
石井シェフ、フライパンをコンロから何度もずらしながら温度調整をしている様子。
「ステーキなんか強火でザッと焼いたら最初に焼いた面が縮むやろ。あれは単に炭化させてるだけで不味いだけや。
お前らこれでお客さんからお金頂戴するわけやろ?ここで時間かけな。じっくり、美味しくなるように~美味しくなるように~」
少しずつ転がしながらいい色に焼けてきました。
出てきた油を何度もかけて・・・
「今日、網脂を使ったのはこれが出来上がって切ったときの感動をみんなに味わってもらいたいからや」
え!?どんな感動?
「はい、あとオーブンに入れて」
あ!カウンター。今回は結構スリムですね。やっと店が終わって急いでやって来た若手調理師たちが、気がつくとどんどん増えていました。
「はい、次!」
まだ、次があったんだ(^^; さっきの50%火の通ったリ・ダニョー。ザンブ!とフライパンへ。
手で、熱くないのね?
そういえばさっき石井シェフ、火とお友達にならなきゃいけないって言ってました。・・・なっておられるようです(^O^)
コニャックですが・・・
フランペ~!!
あ、石井シェフ。ちょっとお友たちに距離、置いてません?
網脂で包んだリ・ダニョーを切ると、肉汁がジョバー!!(普通はなかなかそうはならないそうです)
試食の準備が始まった。みんなめちゃくちゃ素早いですね。
試食用盛り付けですが・・・リ・ダニョー、見るからにぷるんぷるん。さらに素晴らしきかな!セップ茸のソースの香り(@@)
いただきま~す(^◇^) 網脂は見えなくなっているのにリ・ダニョー、見事にくっ付いてます。
包んでいないほうのリ・ダニョーに例のソースがたっぷりかかっていて、夢中で食べちゃいました。美味しかったー(~。~)
深夜1時過ぎ。こうして見渡すと、カウンターにまだ入っていた人も合わせて30人くらいが出席していたみたいです。
みんなそれぞれ材料費の500円を払って、うれしそうな笑顔で寒い夜の道を帰ってゆきました~。
コメント
早坂さん!おかえりなさいの最初の(神戸の)記事が…
あまりに素晴らしいレポート。まるでドキュメンタリー映画のように ちょっと胸が熱くなりました。
もちろんお料理にかけるシェフたちの情熱に感動。
美味しい料理のために熱心に勉強したい人がいる、、技を伝えようとする人がいる。
美味しいお料理は シェフたちの情熱の結晶なのだということを思い出すでしょう。
そして、早坂さんのこのレポートも。
シェフの皆さんと早坂さんに乾杯!
Posted by: midori | 2007年11月16日 20:46
☆midoriさん
ただいま~♪
料理に携わる人たちってすごいでしょ~。
特にプチ・メゾンや、こじんまりとした割烹とかやってる人なんか、原価計算したら割に合わない仕事ですよ。
それでも、やる!体を酷使してでもやる!お客さんに美味しいって言ってもらいたいからやる!って姿に私はただただ頭の下がる思いです。
儲けのための店にお金払うのっていやなんですけれども、美味しい料理のための店にはちょっとがんばって応援したくなっちゃうんですよね~(><;
Posted by: 早坂 | 2007年11月16日 21:32
おかえりなさい、早々にえらい凄い面々が!
こんな会があるのは知りませんでしたね!
こだわりの凄さ、でもそれを応用して何でもこなす所なんか痺れますね!たまりませんね!
私なんか、調理師免許を持っていながら、肉体労働の仕事をしているのです!悲しいです!
Posted by: やじきた | 2007年11月16日 22:52
☆やじきたさん
ただいまです(^O^)
これにあわせて帰国しました~♪場所を変えつつ毎月やっているみたいですけれども・・・善は急げと、もうウズウズしっちゃって(^^;
あと、小さなレストランでワインと料理の組み合わせの研究会も、これも料理人ばかりでやっているそうです。
それと!なんと!やじきたさんは調理師免許を持っておられるんですか!道理でブログ、美味しそうなのが・・・これで納得いきましたよ~(^◇^)
Posted by: 早坂 | 2007年11月17日 09:22
過日は深夜までご苦労様でした。
また せっかくのアメリカ旅行途中で打ち切ってまで 着ていただき 感謝です!
我々の仕事はどこか白鳥に似ていると思いませんか? よく言われることですが 優雅に泳ぐ白鳥も水面下では 必死に足をばたつかせ泳いでいると・・・・
レストランも同じでホールで優雅に食事を取るお客様を支えているのは この勉強会に参加する多くの 名も無き若者の汗があってこそと
思います。
所詮一人の料理人でできることは 知れています、チームとして 若い人たちの力がなければお店としても成立しません。
普段忙しい中思うように指導できないという
ジレンマもあって このような勉強会ができました。
今は名も無き若者も 数年後には神戸 いや関西をしょって立つ料理人になることでしょう
そんな楽しみも持ちつつ ハードな日常の中
これからも 勉強会続けて行くつもりです。
どうぞこれからも よろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
Posted by: ラピエール 石井之悠 | 2007年11月17日 12:07
☆石井シェフ
いえいえ石井シェフこそお疲れ様でした!
アメリカで神戸フレンチが相当懐かしくなっていましたので、ちょうどよかったです。
それより何より、無理やりお願いして講習会を見学させていただいきありがとうございました。
確かに白鳥だと思います。長時間の仕込みと本番での厨房の戦闘状態(><; ホールの優雅なおもてなし。
・・・・最低限、丈夫で体力のある人でないとまず無理ですね。で、あと、さらに・・・やる気と・・とか言い出すときりがないですけれど。
今回、あ~この人会ったことある!と思える若手の方も何人かおられたのですがほとんどがはじめてお会いする方でした。
きっと、10年後・・いや数年後にはここからグググーッと伸びていくんでしょうね♪すごく楽しみです。
あの講習会は、本当にワクワク物でしたよ。熱気が乗り移ったのか、家に帰って朝まで眠れませんでしたもの(●。●)おメメ、パッチシで(^◇^)
石井シェフもお体に気をつけて、今後もますますご活躍くださいね♪楽しみにしておりま~す。
Posted by: 早坂 | 2007年11月17日 13:02