●タカラジェンヌも御用達!日本のイタリアンを代表する超老舗~宝塚南口「アモーレ・アベーラ」
先週の木曜日。ワタクシ、ダンディー父上殿に誘われて日本で最も古いと言われるイタリア料理店、宝塚は「アモーレ・アベーラ」に行ってまいりました。
ココ、ご存知の方も多いはず。日本で一番最初にピッツァを提供したお店でもあります。
阪急の宝塚南口駅を降りてすぐ・・・・・住宅地の中のごく普通の洋館が、かの「アモーレ・アベーラ」であります。
もし看板がなくて、扉もこうウエルカムーーーー!と両開きになっていなければ、入っちゃいけないのかと思っちゃいますよね。だって普通のお家なんですの・・・・・・。
はじめは1946年9月1日、湯本町の蓬莱橋近くの長屋で「イタリアンレストラン・アベーラ」として質素にスタート。お客さまは進駐軍の方々。
そしてココ。1971年25周年を機に自宅の一階を改装し「アモーレ・アベーラ」としてオープンしたお店なんですの。今では宝塚歌劇の生徒さんなど歌劇関係者の方がお客さまです。
お庭も、ここのお家のお子さんが遊んでいてもおかしくない感じ。
中に入ってみますね。
真っ先に目に飛び込んでくるのが、甘いマスクの故オラッツィオ・アベーラさん。50歳の時のお写真です。
アベーラさんはその昔、イタリア軍の軍人として輸送艦「カリテア号」に乗りアジアの戦局を本国に知らせる諜報活動をされていたそうです。(ちなみに・・・・「カリテア号」は軍艦であるにもかかわらず大砲も積んでいない船だったそうです。勇気いりますよね~ブルル)
1943年、アベーラさんは神戸港に上陸。しかしイタリアはさっさと敗戦を宣言したため、アベーラさんたちイタリア兵は日本軍の捕虜になってしまいます(日本の敗戦はまだそれから2年後の1945年ですものね…)。
本国に強制送還されるか、日本に残るか。アベーラさんは台湾行きを希望しました。いざ神戸港を出港。しかしアメリカ軍の空爆を受け、焼夷弾で腕に大やけどを負ってしまいます。神戸で手術を受け有馬温泉で療養しますがちっともよくなりません。そこで場所を変えて宝塚の武田尾温泉で療養。すると、そのころ同盟国ドイツの軍人が50人ほど宿泊していた旅館でリハビリを兼ねてコックとして働かないか?と声をかけられます。アベーラさんは徴兵を受ける前はレストランで働いていたのです!
アベーラさんはお料理を作るとき自慢の美声でイタリアの歌を歌ったそうです。そして、その歌を共に歌ってくれた旅館のお嬢様と恋に落ち(ああ~~~ロマンティック)、ご結婚。
「料理が歌いだす」
アベーラさんの口癖だったそうです。料理自体が歌好きで、歌うんです。それがイタリア料理だって。
んーーーちょっと分かりにくいけど、でもなんとなく分かる気がする。
お皿に描かれた真っ赤なリボンに文字「Amore Abela」
イタリア語で「Amore」は「愛を込めて」の意。う~~ん、なぁーんて情熱的なんでしょうっ!このお店はアベーラさんの温かーーい愛に満ち溢れているのね。
さあ、さっそく愛に満ちた前菜が運ばれてまいりました。
メロンの上にパルマ産のプロシュート!そしてタコのマリネ、トマトの上はモッツアレラチーズとバジルソース。
タコのマリネが山のように積み重なってます!ちょっと崩してみますね…。ご覧ください。ものすごい分量なんですよ、このお店のお料理はすべて!
うう~ん、大好物。完熟マスクメロンにパルマ産のプロシュートを巻いて・・・・・・。・・・・・・・・。・・・・・・・・・。ちょっと話しかけないで・・・・・・・うにゃーーーおいぴーーーー!
ダンディー父上殿オーダーの「ミネステローネ」。
でもね、イタリア人は病気にならない限りはスープはいただかないものなのよ。今日、ワタクシ、心はイタリアン。だからスープはご辞退いたしますわね、ゴメンあそばせ。
さ、でました!これがかの「アモーレ・アベーラ」のピッツァです。昔からサイズ、見た目、味、変わりません。
今の普通のピザはトッピングがカラフルに表に出ていてさも美味しそうですが、元祖「アモーレ・アベーラ」のはチーズに覆われて見た目は地味です。
このイタリア料理が日本人に受け入れられるのかどうか不安に思ったオラッツィオ・アベーラさん。試しに常連のタカラジェンヌに食べてもらいました。感想は・・・・・・・・?
「お好み焼きみたいやねー。美味しいわ」
そうか!イタリアのお好み焼き!それでいこう!それなら日本人もピッツァの美味しさを受け入れてくれる。
ということになったそうです。
生粋のシシリー・ピッツァ。いっただきま~~す。あちちちち。チーズ、どろーーーん。いわゆるシカゴ風のように分厚くもなく、クリスピーピザのように薄すぎもせず・・・・・・で、生地は中心がモチモチッ!縁はカリッカリ!
あーー、いつ食べてもまた食べたくなるこの味。やはり本場直伝は違います。
キャーーー。大変!お父様、ワタクシお食事の途中で大変失礼なんですけれども少し席を外させていただきますわね。今、オーナーのエルコレ・アベーラさんがお店に入ってこられてスタッフの方とお話されてるの。ワタクシ、ちょっといってまいりますわね。------突撃!!!
こちらのダンディーなおじ様。エルコレ・アベーラさんです。なんだかワタクシの父上のダンディーさが霞んでしまいそうですわ…。
あのー以前お伺いした時、ここに俳優の松平健さんからの立派なお花が飾ってあったんですけれど・・・。
「ああ、あれはなんだったっけかな?あ、そうだそうだボクの母に送られたものですよ。男同士で花送りあうなんて気持ち悪いよ~。もうかれこれ30年来の付き合いなんですよ。彼はボクのこと兄貴って呼んでますからね。ここにもしょっちゅうきますよ。またこれがよく食うんだ~~~」
エルコレ・アベーラさん。陽気で人の気をそれさせない魅力的な話術の持ち主。須磨のアメリカンスクールを出た後3年間イタリアで過ごし、帰国後グループサウンズのドラマーとして活躍していたそうです。その時知り合って意気投合したのが松平健さん。海外旅行なんかもいつも行動を共にされておられるそうです。
もっとお若い頃の面白いお話もお聞きしました。ベルバラでオスカル役をやっていた男役のトップスターと同い年でお友だちだったそうです。当時まだ店の2階に住んでいたアベーラさんの部屋の窓に、夜になるとその彼女が小石をコンッと投げるんだそうです。
するとアベーラさん、「おお~ロミオ、ロミオ、あなたはどうしてロミオなの?」とかいいながら窓を開けなきゃいけない。
「(男女が)逆や!」
と、ワタクシ思わず突っ込みいれてしまいましたけれど・・・。
エルコレ・アベーラさん。かつてのドラマーは、今や日本のイタリアン界を代表するシェフ。奥様はマリーアントワネット役もされた宝塚花組の娘役トップスターだった方です。
父子でツーショット。
「父はね、身長160センチしかない小柄な人だったんですよ。でもズボン丈はボクより長い。なんでやねんって、あっははははは」
お忙しい方なので次の御用で出て行かれましたが、またお目にかかりたいですわ。
座席に戻ると、赤いジュースが・・・・。「アモーレ・アベーラ」はとにかくボリュームがすごいので、私はわざと朝はトーストだけで済ましてきました。そしてスープもオーダーしなかったので、ダンディー父上殿、それじゃあ野菜不足だとの親心。
メニューを見ると「ジースリージュース」・・・・・・?なになに?リコピン・・トマトの70倍、Bカロチン・・ニンジンの10倍、ビタミンC・・60倍、ゼアキサンチン・・とうもろこしの40倍、アンチエイジングドリンク。
はーー?まあいいや。飲んじゃえ。ゴックン。
わ、ピッツァが増えてる。これはミックスピザ。さっきのはサラミピザ。
タカラジェンヌは華麗なだけではなく、その実態はアスリート。ですから宝塚音楽学校の生徒さんも含め皆さんすんごく食べるんです。で、太らない。
ワタクシも・・・・・タカラジェンヌ並みに食べて・・・・あと、どうしよう(汗)
でも、美味しいからいくらでも入る。お持ち帰りもできるのですが、食べる食べる食べる食べる、でペロッといっちゃいましたーー。
昔からここに来るとワタクシ食べ過ぎちゃうんです。美味しくて。
コーヒーで一息。
ホントはまだビフカツ(ここのは最高です!)も食べたかったのですが、父上殿満腹で言い出しませんでした(><;)
イタリアンワインもたくさん並んでました。
老舗の風格を感じさせる落ちついた店内と特注のステンドグラス。
たくさんかかっている絵の中でこれが特に気に入りました。誰の作品なんだろう?聞き忘れました。
鉄平石の門柱の上に掲げられた看板。樹も古くて大きくなって、店の落ち着きを演出していますね。
店のトレードマークのとぼけたコックさん。おーーーい、自分で食べちゃってどうするんだよ~。
ところで、創業者のオラッツィオ・アベーラさんはシシリー島のジェラという町のご出身。宝塚はその町に似ているそうです。1974年に61歳でお亡くなりになるまで、宝塚を愛し宝塚を離れられなかったそうです。
オラッツィオ・アベーラさんと共に「カリテア号」に乗っていた150人のイタリア兵たち。そのうちの幾人かは、アベーラさんと前後して神戸や東京、横浜にイタリア料理店を開き、今の日本のイタリアン界の基礎を築いたんだそうです。
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アモーレ アベーラ
兵庫県宝塚市南口1-9-31
TEL: 0797(71)3330
営業時間 11:30~22:00(L.O.21:00)
定休日 火曜日
前菜盛り合わせ・・・・・・1575円
ミネストローネ・・・・・・735円
サラミ・ピッツァ・・・・・・・1470円
ミックス・ピッツァ・・・・・・1575円
ジースリージュース・・・・840円
コーヒー・・・・・・・・・・・・420円